行き詰まった会社経営を立て直す方法のひとつに、事業再生があります。収益が見込めない事業と、今後会社を支える可能性がある事業とを見極め、赤字を招く原因となった事業を切り捨てる選択をすることで、経営を立て直す手法です。もちろん簡単に事業を立て直すことはできませんが、倒産の抱えるリスクを考えると、ぜひ検討したいものといえます。ただ、事業再生はタイミングを間違うと時間がかかったり、結局倒産する選択肢しか残らなくなったりする可能性もあります。そこで知っておきたい事業再生の適切なタイミングを詳しくご紹介します。

事業再生のタイミングの大切さ

会社の経営が行き詰まり、資金難に陥った際に簡単に倒産を選択するのはおすすめできません。そうなるまでの過程で、経営を建て直せるタイミングは何度かあったはずであり、倒産するということは、そういった対策をしていなかったとも受け取られるからです。債権者からすると、貸し付けた資金を回収することができなくなるため、会社への信頼が失われることにもつながります。ただ、会社を立て直すためのタイミングを見極めるのは難しく、「まだ大丈夫だろう」と考えている間に状況が悪化することもあり得ます。そうならないためにも、事業再生のタイミングを見極めることが必要なのです。

事業再生ができる条件3つ

会社の状況によっては、事業再生をしても立て直しが難しいこともあります。その場合は事業再生を選択したことで、さらに状況が悪化することも考えられます。まずは事業再生ができる条件が揃っているかどうか確認することが必要です。

再生可能な事業がある

今後収益を上げる可能性のある事業があるかどうか、また事業そのものが他の企業にない独自のもので、ニーズがあるものかどうかも重要です。

今ある負債がなければ立て直しが可能である

金融機関からの借入がかさんでいる場合、それらの負債がなければ赤字から脱出することができるかどうかも重要です。

債権者の理解が得られるかどうか

今ある負債について、債権者が返済を待ってくれる、また債務の免除といった依頼に協力してもらえるかどうかも重要です。協力を得られない場合、事業再生自体が実行不可能になります。

事業再生の適切なタイミング

事業再生は簡単な方法ではなく、タイミングを見逃すと倒産する可能性が高まります。まずは事業再生をいつ検討すべきなのか、そのタイミングを見ていきましょう。

融資を断られたとき

新規の融資ではなく、今まで付き合いのあったメインバンクに融資を断られた場合には、事業再生を検討するタイミングといえます。

赤字が連続しそうな状況になったとき

赤字が二期連続で続く可能性が出てきた場合には、その決算が出る前に決断が必要です。赤字という数字が出てしまうと、金融機関からの融資も難しくなるためです。

決算前に修正したほうがいいか選択を迫られたとき

決算が出る前に、状況を確認して予算を下方修正するといった方法もありますが、結局は根本的な改善にはなりません。立て直すタイミングを後回しにしないことも大切です。

現時点では事業は黒字だが負債が大きいとき

事業が好調でも、負債が多ければいつかは破綻してしまいます。事業拡大のために負債を抱えている場合など、これから先を見越して返済がきちんとできるのか、一度見直しが必要です。今は業績が好調であっても、先に何が起きるかは分かりません。負債はなるべく減らすことが必要です。

現金が不足する可能性があるとき

実際に現金が不足してしまったら、もうその時点でかなり状況は悪化しているといえます。一度でも現金が不足してしまうような事態が起きたら、その時点で事業の見直しが必要です。