資金繰りが苦しくなった場合、会社を存続させるために様々な対策を立てる必要が出てきます。その時にまず考えなければいけないのが「先に支払うべきもの」と「支払いを止め先送りするもの」とを決めることです。支払うべき資金が不足しているため、「追加の借入ができるかもしれない」と不確実な予定にすがると最悪の事態を招きかねません。そこで支払うべきものとその優先順位について詳しくご紹介します。
支払いに優先順位をつける重要性
資金繰りがうまくいっているといっても、ほとんどの場合は事業が順調に業績を上げている場合であり、予期しない事態が起こらないとは言い切れません。むしろ万が一のために十分な備えがあるという会社の方が少ないのではないでしょうか。もちろん不測の事態が起きたとしても、会社の資金繰りをサポートし、解決に導くための方法はいくつもあります。ただし、そういったサポートに頼る前に会社の経営者として危機的状況を切り抜けるためにすべきことがいくつもあります。その一つが、限られた資金でのやりくりです。資金が尽きてしまえば、会社は倒産という選択以外できなくなってしまいます。その最悪の事態を避けるために、支払いの優先順位を見極めることが必要なのです。
知っておくべき支払いの優先順位
資金繰りが苦しく、支払いができないかもしれない可能性が出てきた場合、限られた資金で支払うべきものは何か、優先順位順に見ていきましょう。
1位・支払手形
手形が不渡りになると、事実上倒産してしまうため、支払手形の支払いは最優先です。ただし、手形の支払いができなくなる可能性があると分かれば早めに対策することは可能です。手形のジャンプや分割といった交渉が可能な時点であれば、優先順位を下げても問題ありません。
2位・社員や従業員への給与
支払いのことを考えてしまいがちですが、危機的状況の中で最も優先すべきは会社で働く社員や従業員への給与です。給与が支払われなくなると、社員は「倒産するのでは」と危機感を覚えて離れてしまいます。そうなると会社の事業が立ち行かなくなるだけでなく、貴重な人材を失うことにもなりかねません。社長や役員への給与を後回しにしてでも、社員や従業員を守ることを優先しましょう。
3位・仕入れに関する支払い
経費の削減で優先されがちな仕入れや材料に関する支払いも、優先すべき支払いの一つです。支払いを待ってもらうよう掛け合うことも可能ですが、仕入れ先が倒産してしまったら意味がありません。今後も仕入れの関係を続けていくために支払いを優先しましょう。
4位・諸経費
会社を維持するための費用、例えば光熱費やテナント料、家賃などは支払いを後回しにできるものと考えてしまうかもしれません。ただ、賃貸の場合、家賃を滞納すれば退去を求められる可能性があります。また宣伝広告に関する費用は、事業の継続にも関わりますので必要な費用と考えて支払いを優先することを考える必要があります。
5位・金利の支払い
金融機関からの借入がある場合、元金を交渉して支払いを待ってもらえたとしても金利は支払いの必要があります。ただしその金利も支払いが難しいと考えられる場合、猶予してもらえるかどうか交渉し、少しずつでも返済していくことが大切です。
6位・税金や社会保険料
税金や社会保険料は支払いが遅れると差し押さえの対象になる可能性があるため、納付期限までに支払えない場合には早めに事情を説明し、分割払いの交渉が必要です。延滞しているのに通知を無視していると、差し押さえの対象となるだけでなく罰則の対象ともなりかねませんので、注意が必要です。ただし社会保険料は支払いが滞ったとしても、会社自体にはさほど影響はありません。税金と社会保険料の2つのどちらかを選択する必要がある場合は、税金を優先しましょう。
7位・借入の元金
元金の支払いについては、交渉が可能なので優先順位は低めです。ただし、今後の借入にも影響がありますので、交渉は慎重に行う必要があります。