倒産という最悪の事態を回避するためにも、会社を早急に立て直す必要があります。抱えた負債を返済することも必要ですが、会社の事業が上手くいかなければ、返済どころではなくなってしまいます。そこで事業の見直しを行う「事業再生」に着手する必要があるのです。この事業再生で重要な役割を果たす「事業再生計画書」とはどんなものなのか、また作成の目的や注意点を詳しくご紹介します。
事業再生計画書とは支援を求める相手に示すもの
事業を継続していくためには、売上をあげることも必要ですが、初期投資や拡張のための資金も必要です。そのため、多くの会社では金融機関に支援を求め、返済をしながら事業を行っています。ただ、経営が順調であれば問題はないのですが、会社自体だけでなく会社を取り巻く環境の影響を受け事業が立ち行かなくなることもあります。そうなると借り入れたお金が返済できず、最悪の場合会社が倒産し、負債を返済できなってしまいます。会社が倒産すると、会社独自の事業や取引先が失われるため、会社は大きなダメージを受けてしまいます。それだけでなく会社で働いていた従業員は職を失うことになります。倒産という選択は、会社の経営者にとってできれば選択すべきではない最終手段なのです。また、会社に資金を貸し出している金融機関にとっても、倒産は貸したお金が戻ってこない可能性が高くなります。そのため、倒産するよりも事業再生を行い、会社を立て直してもらう方が時間はかかったとしても金融機関には利益があります。ただ、倒産を回避したとしても、売上が回復しなければ意味がありません。「今経営状態は悪化の状況にあるが、こういった事業計画を立て、返済の目処がつくようにしていく」ということを具体的なデータや数字で説得することが必要なのです。事業再生計画とは、返済を待ってもらう、また支援を求める金融機関などに対し、示すべきものなのです。
事業再生計画書は早急に作成しないと意味がない
事業再生計画書は、金融機関から提出を求められるほか、事業再生を支援してくれる団体などからも作成するよう依頼されます。今までの経営内容や財政状況などを参考資料として、赤字の事業から手を引き、黒字が見込める事業を残すことで事業再生が現実に可能かどうかを説明する必要があります。ただ、作成に時間がかかってしまうと事業再生を実施するにも時間がかかってしまい、その間に経営が悪化する可能性もあるため、早急に作成する必要があります。
事業再生計画書の作成のポイント
事業再生計画書については、中小企業庁をはじめ、日本政策金融公庫など様々な支援団体でサンプルが公開されています。決まった様式はありませんが、以下のポイントをおさえて作成することをおすすめします。
- 自社の現状について
- 現状にいたった原因についての分析
- 改善のための課題
- 課題をクリアするための対策
- 具体的な対策とそこから分析できる将来の展望
事業再生計画書には財務関係書類が必須
赤字の事業と黒字の事業を洗い出し、事業の整理を行うところまではできても、そこから返済の目処を明確に数字にしないと金融機関側を納得させることはできません。そのため、計画書の実現が「できる」とわかる数字が必要です。財務関係書類については、担当の税理士に相談することをおすすめします。ただ、実際に事業再生計画書を作成し、その内容に添った財務関係書類をまとめるのは簡単ではありません。過去の実績に加え、今後の事業予定(改善した結果から立てたもの)を最低5年分作成する必要があるからです。事業再生の実績のある専門家に相談し、早めに作成に取りかかるようにしましょう。